今回は、大澤が自宅で調べた「浴室を乾燥させるのに有効な手段」をテーマに実験したものをまとめましたので、それをこの場を借りて発表させて頂こうと思います。

■実験の目的

・浴室を早く乾燥させるために有効な手段を調べる。
・浴室の湿気が室内へどのくらい影響があるのか調べる。
 この住宅は、浴室の近くにリビングがあるので、リビングの温湿度変化でそれを調べる。

■実験方法

・入浴後、換気扇のON/OFF、浴室のドアの開け閉め、洗面所から浴室に向けて扇風機のON/OFFで浴室内の温湿度変化を測定する。
・温湿度計はSwitchBotのものを使い、浴室内の棚に置きました。
・リビングの温湿度計はLIXILのものを使いました。
・絶対湿度は、温度・湿度から計算し、グラフにしました。
 ※外の風速・温湿度、家の間取りにより、差は出てくるはずなので、住んでいる地域や家の間取り・形によって乾燥までの時間の差はあると思われます。
・窓を開けて涼を得ている時期は、湿気の出入りもあるので、窓を閉めてエアコンで暖房している期間に実験しました。
・換気扇は弱運転で4時間、扇風機は弱運転で3時間回しました。
・この家はUA値0.28W/㎡・K、Q値0.98 W/㎡・K、C値(完成時)0.26㎠/㎡です。浴室は引戸。加湿器で常に湿度50~55%程度になる様にしています。加湿器は18時にOFFになり、24時以降湿度が50%以下になるとONになる様に設定しています。

 

 

  換気扇 ドア 扇風機
①11/20 ON 開け ON
②11/10 ON 開け OFF
  ON 閉め ON
③11/5 ON 閉め OFF
④11/7 OFF 開け ON
⑤11/6 OFF 開け OFF
  OFF 閉め ON
⑥11/14 OFF 閉め OFF

・19時頃お湯を沸かし、入浴。22時半頃入浴。23時半頃から実験開始です。
 グラフは17時から16時を目安に作っています。

①11/20

24時から開始。6時壁水滴無し。建具溝水あり。

浴室
リビング
浴室
リビング

②11/10

24時から開始。6時壁水滴無し。建具溝水あり。

浴室
リビング
浴室
リビング

③11/5

24時から開始。6時壁水滴無し。建具溝水あり。

浴室
リビング
浴室
リビング

④11/7

23時から開始。6時壁水滴無し。建具溝水ほぼ無し。

浴室
リビング
浴室
リビング

⑤11/6

24時から開始。6時壁水滴無し。建具溝水ほぼ無し。

浴室
リビング
浴室
リビング

⑥11/14

24時から開始。6時壁水滴有り。建具溝水有り。12時壁水滴有り。18時壁水滴有り。

浴室
リビング
浴室
リビング

■水滴と水

浴室の壁の水滴
浴室の建具の水

■考察

・①、②より、換気扇ON、ドア開けなら、5~6時間以内に室内の湿度+10%くらいまで下がる。
扇風機がONなら、そのスピードも速く、浴室内の水滴の残りも少ない。

・③より、湿気を出す為の換気扇だが、ドアを閉めていると湿気を上手に出せていない事が分かる。温度が下がっているのは、換気扇のON/OFF以外同じ⑥でも下がっている事から浴室自体の断熱力が少ないからだろう。

・③より、絶対湿度が下がってはいるが、24時から6時までに絶対湿度7.1g/㎏(DA)減っている。1坪で高さ2.2mの浴室ではザックリ6.75㎏(DA)の空気があるので、約48gの水分が無くなったことになる。湿度95%程度を保ちながら・・・
しかし、湿度が下がっていない点、翌朝6時のチェックから、湿気が外に出たのではなく、結露したのではないか?乾燥した空気が入ってきていなので、その水滴が残った。と考えられる。

・④と①より、換気扇のON/OFFでは、そこまで大きく変化は見られなかった。
しかし、④の換気扇OFFドア開け扇風機ONでは、23時頃からリビングの湿度が上がっている。④では約10%、扇風機OFFの⑤では約5%上がっている。
(この時間帯、加湿器はOFFになっている)

・④、⑤より、多少波はあるが、換気扇を回さなくても浴室内の乾燥が可能なのが分かる。
扇風機で、強制的に室内の(浴室よりは)乾燥した空気を入れる事で、早い時間で乾燥させられる。
⑤は24~4時頃は湿度が下がっていない様に見えるが、絶対湿度を見ると空気中の水分は少なくなっている事が分かる。

・⑥の換気扇OFF、ドア閉め、扇風機OFFだと、湿度は下がるものの緩やかである。
しかし、リビングの湿度は少ししか上がっていない。という事は、浴室内で結露したのだろう。
換気が全くされていない状況なので、24時に開始し、18時間後の18時でも壁の水滴が残っている。カビの事を考えると良くない環境だ。

■全体としては

家が全体的に暖かければ、換気扇OFFでドア開ければ、湿気は逃がせられる。
確実にするために、浴室に扇風機を向けると良い。
その湿気は、室内の加湿にも貢献できる。部屋の大きさで違いはあるが、今回の物件では、5~10%上がった。

ドアを閉めていると、換気扇ONでもOFFでも水滴が取れない。ドアは必ず開けるべき。
せめて夜~朝だけでも。

・同じ条件で複数回測定した方が、測定の誤差が少なくなるので、複数回すべきだった。
・同じ実験を夏にもやると、夏ではどの方法が浴室を乾燥させられるか。浴室の湿気が室内にどの程度影響するのかがわかるので、やりたいと思う。